いつの時代にも根強い人気を誇る柴犬。
実はとっても怖がりで繊細ということを知っていますか?
あまり知られていませんが、柴犬は初めて見るものに対して非常に臆病で神経質、警戒心の強い犬種と言われています。
一般的には「気が強い」「よく吠える」というイメージがありますが、それも怖がりの裏返しです。
今回は柴犬の特性について詳しく解説していきます。
柴犬はなぜ怖がりなのか
柴犬はオオカミから枝分かれした犬の北方犬種のうち、サモエドの直結の子孫に当たります。
サモエド自身非常にプリミティヴな犬種ですが、柴犬はサモエドよりさらにオオカミのDNAに近いと言われております。
そして日本人は柴犬をはじめ、犬を品種改良せずに育ててきた歴史があります。
ですので、柴犬は原始の犬です。
野生の本能のような知恵が残っている犬種なのです。
柴犬の「怖がり」という特性も、生き残っていくために必要なものだったのです。
たとえば柴犬は水を嫌い、恐れます。
レトリバーのようにプールで遊ぶということはあまりありません。
オオカミは生き残るために水を避けて生活していたと英語の文献にありましたが、柴犬はオオカミに近いため、こうなったのではないかと思われます。
日本の急流に近づいてしまう個体は生き残れなかった側面もあったのかもしれません。
また、はじめて見る物に対しても柴犬は警戒心を抱きます。
これも「これは何だろう」「ひょっとしたら危害を加えてくるものなのかもしれない」と考えながら様子をうかがっているのです。
柴犬が新しく買ったおもちゃにおっかなびっくりしてなかなか遊ばなかったり、洗濯籠の中に入ったボールをかがみこんでくわえるということができずに「わん!」と泣くのは、我が家でもよく見られた光景でした。
また一方で柴犬は好奇心の強く、リスクテイカーな面も兼ね備えてあります。
たとえばびっくり箱を仕掛けるとします。
柴犬ははじめ、「この箱は爆発するかもしれない……」と怯え、なかなか箱に近づかないのですが、最終的には好奇心の方が勝ってしまい、開けて怖い思いをしてしまうのです。
はたから見たら可愛らしくてなかなか笑える光景ですが、警戒心も好奇心も、リスクを冒すかどうかの葛藤も、全部柴犬の知恵であり、普段から色々考えていることを示すものでもあります。
怖がりな柴犬の対処法?
あまりにも柴犬が怖がりな場合は、単純にをそっとしてあげましょう。
怖がっているときの柴犬はとても神経質です。
たとえ自分が原因ではないにしても、うっかり手を出すと噛まれることもあるので注意してください。
怖がっているときの柴犬は体を低くし、耳を後ろ方向に寝かせています。
前向きな感情のときは前に、後ろ向きな感情のときは後ろに耳が向きます。
嬉しいときは耳をぺたーんと横に寝かし、水平にしている「ヒコーキ耳」は有名ですが、それとは違うということは一目でわかります。
家の中にいても柴犬は怖がることがあります。
近くで落雷があったとき。
祭り囃子が聞こえてきたとき。
犬によって何が怖いかは様々ですから、雷を怖がらなくても祭り囃子は怖がる、またその逆もあります。
怖がる犬はときには暴れ、物を壊してしまう可能性もあります。
近所のゴールデンレトリバーは公園で遊んでいた中学生の爆竹に怯えて暴れ、鉢植えを壊してしまいました。
柴犬はレトリバーほどの体の大きさや力はないにせよ、壊されて困る物は愛犬の側には置かない方がいいかもしれません。
室内飼いの場合はいつでもサークルの中に戻れるようにしてあげてください。
サークルの中には犬小屋かクレートのような隠れられるものを配置してあげましょう。
我が家の柴犬ねねは幼い頃、怖いことがあったときはよくクレートの中に潜り込んでいました。
柴犬は興奮すると飼い主ですら敵対対象になる事もあるので、飼うのには少し注意が必要ですね。
柴犬の凶暴性に関しては下の記事で解説しています。↓
柴犬はおもちゃも怖がる!
怖がりな柴犬はおもちゃですら警戒する事も多いですが、そっと見守ってあげましょう。
そのときは柴犬は見慣れぬおもちゃに怖がっているはずです。
安全だとわかるとそのうち遊び始めますので、それまでじっと待ちましょう。
無理強いは禁物です。
いくら待っても、怖くないとわかっても、遊んでもらえない場合もあります。
それはただ単にそのおもちゃがもうひとつなのです。
柴犬は仕掛けのある凝ったつくりのおもちゃよりも、ボールやロープのようなシンプルで素朴なものを好む傾向があります。
ボールやロープは柴犬の予測どおりな動きをしてくれるからです。
その方が遊びやすいと感じてくれるのでしょう。
神経質といわれる柴犬
柴犬は怖がりなだけではなく、気難しくて神経質です。
家では水を飲むのに外では飲まない、泥で汚れたボールはあまりくわえたがらないなど、とてもこだわりの強いところがあります。
他にもいつもの散歩コースでなければイヤイヤをする、排泄のときに猫が通るとうんこが引っ込む、見知らぬ人に怯えて吠えるなど列挙に暇がありません。
それも柴犬が変化を好まない犬種だからです。
たしかに柴犬は、ルーティンにはまれば抜けにくいと言われていますね。
柴犬特有の「いつものがいい」というのも、安全が保証されている毎日を求める、生き残るための野生の知恵だったのでしょう。
我が家では犬用ベッドをサークルやリビングに置いていますが、ねねは買ったばかりの犬用ベッドにはなかなか座ろうとしません。
いつもいつも半日くらいかかります。
洗濯したばかりのものも、慣れるのに時間がかかります。
また、暑い夏にアルミ製の冷却シートをサークルの中に敷きました。
乗るとひんやりするから喜ぶだろうと思っていました。
しかしねねはシートで涼むどころか上にすら乗らず、シートのないトイレの方でくつろぐといった事態に!
冷却シートの形状はすのこのようなものでした。
また、アルミもねねにとって未知の物質でした。
犬用ベッドはベッドだ、お座布だ、クッションだと認識できますが、形状・材質ともにねねにとって初めてのもの。
さぞ怖かったのだと思います。
最後に
怖がりで神経質な柴犬。
喜ぶだろうと思って買ってきたおもちゃに怯えたり、快適に過ごしてもらえるだろうと思って用意した冷却シートを使わなかったり、なかなか上手くいかないということも多いでしょう。
飼い主の思う通りにいかないこともあります。
せっかくの好意が無駄になってしまうこともあるかもしれません。
それでも愛犬に悪気はありません。
決して怒らないであげてください。
付き合うのに根気のいる犬種ですが、愛情を持って辛抱強く接してあげてください。
使わずじまいのおもちゃやグッズはどうしてもできてしまうかもしれませんが、あなたが愛犬のために何かをしようとしたということそのものまでが消えてなくなってしまうわけではありません。
柴犬はあなたの愛情に必ず応えてくれます。
以上、いぬさいとでした。